非常警報器具やスプリンクラー、非常用エレベーターまたはコンピューターなどの重要な設備が、火事や地震といった予期せぬ災害により起こる停電によって、稼働しなかった等を起こさないために、停電発生と同時に通常電源から自動で切り替わって電源を確保する設備です。
予防的な保全策については、多くの方に誤解を招き、適切な理解を得られていない点検項目の一つです。予防的な保全策についても、内部観察等と同様に「周期を守り、毎年実施していくことにより、負荷運転と同程度の効果が期待できる」と総務省消防庁は考えています。
しかし、お客様からは「負荷試験が毎年から(無条件で)6年に1回になった」とか「オイルや冷却水の点検なら電気主任技術者がやっているだろうから、新たに何もしなくて良いや」と思われがちです。
※初年度に負荷運転か内部観察等を実施し「基準年」を作らなければならない
※詳細は製造者等に確認が必要です。
前提として、総務省消防庁は科学的な見地から、内部観察等の実施により負荷運転を行ったと同等の効果が得られることから「代替えの点検方法」として認めた。
そもそも、非常用発電機の負荷運転は内発協の「劣化調査報告書」等から、ディーゼルエンジンの宿命である「カーボンの滞留によるエンジン内部への悪影響」を脱するために負荷を掛け、エンジン内部温度を意図的に上げてることにより滞留カーボンの燃料及び除去が出来るとしていた。
なので、内部観察等では「高温燃焼、排気圧による排出をしなくても、カーボンの除去及び異常箇所の検知」が第一に考えられている。
オーバーホールと名が付かずに、あくまで「内部を観察し、汚れ(滞留カーボン)や破損を見つける」となっている。
オイルと冷却水の成分分析については、イメージとして血液検査同様に、内容物に異常な数値が記録されれば、「○○が悪い、○○から△△が漏れている」等の目には見えにくい欠陥が分かると推測されている。消防予528号にも記載がある通り、「あくまで先に成分分析をし、結果が悪ければオイルや冷却水交換を行う」としている。
作業時間は、おおよそ24時間(3日分仕事)は掛かるとされており、その間はエンジン内部を開ける為、上記の様な代替えの発電機の用意が好ましい。結果として、工賃以外に多額の費用が必要となる。
そもそも、非常用発電機の負荷運転はよく車の走行テストに例えられる。
発電機も機械ものである以上、一定時間は動かし、エンジン内部中にオイルを行き渡らせ、各ゴム系部品も動かさないことによる劣化は目に見えて早くなる。
また、エンジン内部を整備することから、「やらないより、やった方が良い」ことは間違いないが、実際に発電をさせて「出力確認テスト」を行える負荷運転に比べると魅力が薄いという意見もある。
非常用自家発電機の負荷運転(通称、負荷試験)では、30%以上の負荷を疑似負荷試験機により発生させるため発電機自体が「実際の動作環境に近い運転性能の確認」ができる非常用自家発電機のための点検方法です。
また、実施することで予期せぬ故障やトラブルを未然に防ぐことができます。負荷運転を実施することで熱や振動が発生しますので「無負荷運転では見えていなかった不具合」を重大なエラーとなる前に発見をすることができます。
メリット | デメリット | 施工時に必要な資格 | |
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疑似負荷 | ・原則的に停電が不要 ・負荷率、時間が自在 |
・試験機の持ち込みが必要 | ・作業範囲として、発電機のみを始動しデータ取りを行うため、不要 |
実負荷 | ・実際の設備を動かす ・試験機が要らない |
・瞬断停電の懸念 ・カーボンの未燃焼となる ・安定した数値の測定不可 |
・電気主任技術者(停電作業) ・各設備屋(発電機の電気で設備を動かす為、復旧確認) |
2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | |
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内部観察等 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
負荷運転 | |||||||||
保全策 |
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内部観察等 | |||||||||
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保全策 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
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負荷運転 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
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